みなさんは、初めて企業へスポンサー獲得の営業をしたとき、どのように伝えていますか?
「一生懸命がんばりますので、どうか応援してください!」と、熱意だけでぶつかっていないでしょうか。
実は、企業は「お願い」ではなく「提案」を求めています。
この記事では、スポンサー獲得の成功率を劇的に上げる「B2B」の視点を徹底的に解説します。
B2Bのポイント
- スポンサー獲得は「B2B(企業間取引)」である
- 企業は感情ではなく「論理と数字(費用対効果)」で判断する
- 相手企業の課題を解決する「提案」が必要不可欠である
- 提案書は「担当者が社内で説明しやすい構成」にする
私自身もフリーランスとして何度も企業に営業し、失敗から学んだノウハウを詰め込んでいます。
熱意や感情の押しつけから卒業し、企業に必要とされる論理的な提案術(B2B思考)を身につけましょう。
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B2B(Business to Business)の基礎知識と具体例
B2B(ビー・トゥー・ビー)とは「Business to Business」の略称で、会社が別の会社に対してモノやサービスを売る「企業と企業の取引(企業間取引)」のことです。
お客様が「一般消費者(個人)」ではなく「企業(会社)」であるビジネスモデルのことを指します。
私たちが日常的に目にしている商品やサービスの裏側では、企業同士の膨大な取引が行われています。
| 取引の例 | 売り手 | 買い手(お客様) |
|---|---|---|
| 自動車部品の納品 | 部品メーカー | 自動車メーカー(企業) |
| CMの制作代行 | 広告代理店 | メーカーなどの企業 |
| システム開発 | IT企業 | 業務効率化したい企業 |
| スポンサー提案 | アスリート(個人事業主) | スポンサー企業 |
このように、相手が企業であれば、たとえ売り手が個人であってもB2Bの構造になります。
反対に、コンビニでお弁当を買ったり、オンラインショップで靴を注文したりするような「企業から個人へ」の取引は「B2C(Business to Consumer)」と呼ばれます。
B2Cについては次回の記事で詳しく解説します。
なぜスポンサー獲得はB2Bなのか

「自分は企業ではなく個人のアスリートだから、B2Bとは関係ない」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、スポンサーを獲得するために営業をかける相手は、企業の社長や広報部・マーケティング部の担当者です。
スポンサー契約を結ぶということは、企業に対して「自身の持つ広告メディアとしての価値」を提案し、取引をする行動です。
あなたの競技ウェアのロゴスペース、SNSでの発信力、大会でのメディア露出などは、すべて企業にとって「広告投資先」として評価されます。
つまり、アスリートのスポンサー営業は構造上、完全にB2B(企業間取引)です。
ここを理解せずに、ファンに向けるのと同じ感覚で「感情的に応援をお願いする」アプローチをしてしまうと、企業側の判断基準とズレてしまいます。
これは過去のフリーランスとしての私自身の最大の失敗でもありました。
「実績を見せます」「がんばります」だけで企業を回り、ことごとく断られた経験があります。
スポンサー獲得(B2B)を成功させる3つのポイント
スポンサー営業がB2Bであると理解できたら、企業向けのアプローチ方法に切り替える必要があります。
ではどのように切り替えればよいのか。ここでは、具体的に意識すべき3つのポイントを解説します。
1. 企業は感情ではなく「論理と数字」で判断する
企業がスポンサー料を出す以上、「どれだけ売上に繋がるか」「自社の認知度がどれくらい上がるか」という費用対効果の論理で判断されます。
個人のファンは「この選手が好きだから」「かっこいいから」という感情で応援してくれます。
しかし、B2Bの世界でそれは通用しません。
あなたの熱意を伝える以上に、「SNSのフォロワー数」「投稿あたりの平均リーチ数」「過去のイベント集客実績」といった客観的な数字を示すことが必須です。
企業の広報担当者は、あなたの話を聞いた後、社内で上司に報告書を書かなければなりません。
そのとき「この選手、すごく熱心な方でした」では稟議は通りません。
しかし「SNSフォロワー5万人、投稿平均リーチ3万、20代男性が70%を占める」という数字があれば、担当者は自信を持って社内プレゼンに臨めます。
つまり、あなたの数字は「担当者の社内営業ツール」になるのです。
この視点を持つだけで、提案の質は大幅に向上します。
2. 決裁には「複数の人」が関わる
B2Bの大きな特徴は、目の前の担当者一人の一存でお金を出せるわけではない点です。
あなたが直接やり取りをしている担当者が「この選手を応援したい」と心から思ってくれても、その上には上司がいて、経理部門があり、最終的には社長や役員の承認(決裁)が必要です。
場合によっては、3〜4段階の社内審査を通過しなければなりません。
そのため、提案資料は「担当者が社内の別の人に説明しやすい内容」であることが極めて重要です。
誰が読んでもメリットと具体的な数字が伝わる、論理的で簡潔な提案書を作成すれば、社内稟議の通過率は格段に上がります。
「この提案書なら上に出しやすい」と担当者に思ってもらえたら、それだけで競合する他の選手より一歩リードしています。
私もフリーランスとして、最初は口頭だけで熱意を伝えていましたが、後に「担当者が社内会議にそのまま使える資料」を用意するようにしたところ、受注率が目に見えて改善しました。
3. 自分ではなく「相手(企業)の課題」を解決する
B2Bのビジネスにおいて最も重要なのは、「自分がどうしてほしいか」よりも「相手企業が何に困っていて、どうすれば解決できるか」を優先する視点です。
| 提案パターン | 具体例 | 評価 |
|---|---|---|
| NGな提案 | 「大会の遠征費が足りないので、スポンサー料を出してください」 | 自分の都合だけで、企業側のメリットがない |
| OKな提案 | 「御社のターゲット層である20代に、私のSNSで商品認知を届けます」 | 企業の課題(認知拡大)に対する解決策を提示 |
| さらに良い提案 | 「御社の社員向けに、メンタル強化セミナーを年2回開催できます」 | 具体的な付加価値(社員研修)まで提案 |
このように、自分の要望を伝えるのではなく「御社の課題解決に貢献します」という姿勢で提案を行うことで、企業からの信頼を獲得しやすくなります。
過去、私も実績がなく、熱意だけを売りにアピールしましたが、企業に断られていました。
しかし「御社の人手不足を私のスキルで巻き取ります」と相手の課題解決にフォーカスした途端、受注率が大きく跳ね上がりました。
視点を「自分のために」から「相手のために」に切り替えるだけで、B2Bの成功率は劇的に変わります。
B2B視点で変わるスポンサー提案の具体例
ここまでの3つのポイントを踏まえ、実際の提案がどう変わるかを具体的に見てみましょう。
多くのアスリートが最初に書く提案書は、自分の実績や思いを一方的に並べたものになりがちです。
B2B視点を取り入れると、構成自体が根本から変わります。
| 項目 | ビフォー(感情型) | アフター(B2B型) |
|---|---|---|
| 冒頭 | 「私は○○競技の選手です。応援お願いします」 | 「御社の課題(若年層への認知拡大)に対し、以下の解決策をご提案します」 |
| 自己紹介 | 「大会で○位になりました。夢は世界一です」 | 「SNSフォロワー5万人、20代男性が70%。御社のターゲット層と一致しています」 |
| 提案内容 | 「ロゴを貼ります。SNSで発信します」 | 「月4回の投稿+四半期ごとの効果レポートを提出します」 |
「ビフォー」は熱意は伝わるものの、企業の担当者が社内で説明する材料がありません。
B2Bを意識することで、言葉もより具体的になり、しっかりと提案ができるようになります。
B2B思考で準備しておきたい3つの武器
スポンサー営業を始める前に、以下の3つを事前に準備しておくと提案の信頼度が段違いに上がります。
| 数字の棚卸し | SNSフォロワー数、投稿の平均エンゲージメント率、大会の観客動員数、メディア掲載実績などを一覧にまとめておく |
| スポンサーメニュー | プランを用意し、企業が予算に応じて選べるようにする |
| 活動報告書のテンプレート | 契約後に「御社へのリターンはこうでした」と報告する書式を事前に見せると、企業の安心感が格段に増す |
この3点を用意できているアスリートは、実は非常に少数です。
だからこそ、準備するだけで大きな差別化になります。
また、これらの情報を把握するだけでも、自分に足りない部分、学びが必要な部分などが明確になり、アップデートできるようになります。
まとめ
本記事では、アスリートのスポンサー獲得に必要な「B2B」の視点について解説しました。
B2Bのポイント
- スポンサー獲得は「B2B(企業間取引)」である
- 企業は感情ではなく「論理と数字(費用対効果)」で判断する
- 相手企業の課題を解決する「提案」が必要不可欠である
- 提案書は「担当者が社内で説明しやすい構成」にする
「B2B思考」を持つだけで、提案書の内容やミーティングでの話し方は大きく変わり、相手企業からの反応も確実に良くなります。
「応援してください」から卒業し、「御社の課題を解決します」というビジネスの視点で活動し、スポンサー獲得を成功させましょう。
次回の記事では、ファン向けのビジネスモデル「B2C」について解説します。
スポンサー収入(B2B)と組み合わせることで、競技活動の安定度が大きく変わります。